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核酸の構造解析が活躍する領域

核酸の立体構造決定の重要性

核酸の構造解析は、核酸そのものを投与する核酸医薬品(アンチセンス核酸、siRNA、アプタマー)や、核酸を創薬標的とする低分子化合物の創薬などにおいて重要です。例えばアプタマーは、特定の立体構造を形成し、標的タンパク質に結合してその機能を阻害するため、立体構造を考慮した配列設計が必要です。また近年mRNAは、塩基配列という一次元情報だけでなく、部分的に立体構造をとることが明らかになり、構造ベース創薬法(SBDD)の標的分子として注目されています。このように、タンパク質を標的とする低分子薬や抗体医薬と同様に、核酸医薬の合理的設計を行う上で、核酸の立体構造情報は重要です。

構造予測が難しい核酸

核酸の立体構造予測および構造解析の現状

核酸医薬品や核酸を標的とした低分子化合物等の創薬では、立体構造決定がボトルネックのひとつとなっています。

 

タンパク質と比較して核酸では、配列から立体構造を精度よく予測することが困難であるという問題があります。2本鎖DNAのような単純な核酸であれば比較的精度よく立体構造を予測することが可能ですが、特殊な立体構造を持つRNAやグアニン四重鎖などの核酸の立体構造を予測することは一般的に困難です。

 

さらに、同じ配列を持つ核酸であっても結合する物質の有無などで容易に大きな構造変化を引き起こして異なる立体構造をとるようになるため、さらに予測が困難になります。

この予測の困難さは、現在PDBに登録されている核酸データの少なさに起因します。近年開発されたタンパク質の立体構造予測プログラムでは、PDBに登録された膨大なタンパク質構造データを用いることにより高精度な予測を可能にしていますが、核酸の立体構造データはわずか全体の8%程度でしかなく、圧倒的にデータが少ないために予測が困難であると考えられます。

 

こうしたことから、核酸分子の立体構造解析の実験は、タンパク質よりも更に重要になります。事実、新たな創薬モダリティとして注目が高まったこともあり、PDBへの登録数が近年増加する傾向にあります。

結晶化スクリーニング .jpg

核酸の構造解析サービス

核酸に適した結晶化実験方法

核酸のX線結晶構造解析では、10塩基前後の小さな核酸(DNA2重鎖、DNA/RNA2重鎖、グアニン4重鎖など)から100塩基を超える様なRNAアプタマーなど、様々なサイズの核酸の立体構造解析が実施可能です。

 

核酸単独の結晶化実験では、PEGやMPD等を沈殿剤とする生体高分子用の結晶化スクリーニングキットが使えますが、AgroBox®では核酸専用のスクリーニングキットも多数取り揃えています(追加Box 1E 計480条件)。

 

また結晶化作業は、20℃で長期間(数日~1ヶ月)のインキュベーションを行うため、RNaseがコンタミするとRNAが分解する可能性があります。そこで当社ではRNase Free環境を整えています(追加Box 1, 2, 3, 7RF/RNase Free作業オプション)。

 

さらに、核酸の立体構造解析ではモデル分子構造を使わない実験的位相決定法(AgroBox® Pro αでサービス提供中)を用いる必要が出てくる場合があるため、より専門的な結晶構造解析の知識が必要です。

当社では、核酸の構造解析経験のある研究者が在籍しておりますので、そのノウハウを活用して核酸の構造解析サービスを提供します。

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